ご挨拶

細胞検査士会 会長 阿部 仁

2021年_2022年の細胞検査士会会長を務めさせていただくことになりました、がん研有明病院の阿部でございます。ご支援いただきました皆様方に心より御礼申し上げるとともに、2年間の会務を全うするため尽力する所存です。

所信については会長選挙時に表明させていただきましたが、

  1. 公益活動を通じた細胞検査士の社会的地位向上
  2. 精度管理・技術向上や研修会など精度管理と教育・指導の充実
  3. 細胞診専門医と細胞検査士との協力体制強化について細胞検査士会をさらに躍進させるため役員会、都道府県細胞検査士会、細胞検査士会の皆様と共に協力体制を今まで以上に構築しながら進めて参りたいと考えております。
  1. 公益活動を通じた細胞検査士の社会的地位向上
    日本臨床細胞学会は2013年4月1日に公益社団法人という重要な認定をうけ、公共の利益を担う立場と位置づけられました。学術団体への発展を遂行しつつ、認定維持のため遵守事項として公益目的の事業割合が50/100以上を行っていくことが必要であります。細胞検査士会としても、一般市民の方々に対して益々の啓発活動が必要であり、今まで以上に公益活動を行いながら、細胞検査士の社会的基盤を形成していきたいと思います。
  2. 精度管理・技術向上や研修会など精度管理と教育・指導の充実
    細胞診の重要性は、がんの早期発見を目的とした検診事業はもとより、様々な分野でその要求が高まってきております。
    また、人口知能(artificial intelligence:AI)の細胞診分野への導入、『HPV検査と子宮頸がん検診』など医療をめぐる環境は急速に変化しています。
    さらに、細胞診検体を用いた遺伝子検査では、日本臨床細胞学会の『ゲノム診療時代における細胞診のあり方検討ワーキンググループ』から【がんゲノム診療における細胞検体の取扱い指針 第1.0版】指針・提言が示されました。今後は、細胞診検査の精度管理・技術向上や教育・研修などの体制を確立していきます。
  3. 細胞診専門医と細胞検査士との協力体制強化
    本学会は日本医学会にも加盟する公益法人でありますが、学会の運営にもっと細胞検査士が関与し、さらに貢献することが可能であると考えます。2021年_2022年の日本臨床細胞学会全国区理事候補者選挙が行われ、伊藤仁前会長が前回に引き続き、私と澁木康雄副会長が新たに当選し細胞検査士会から3名が理事を務めさせていただくことになりました。しかしながら、理事39名中で細胞検査士理事はわずか3名であります。日本臨床細胞学会のすべての医師会員は正会員ですが、細胞検査士会員は正会員と準会員に分かれており、個人で正会員と準会員の選択が可能です。日本臨床細胞学会内では、正会員は同等でありますが、2021年10月4日時点で細胞検査士会会員数は7958名で、正会員数は1144名で全体の14.4%にすぎません。先人の細胞検査士による日本臨床細胞学会活動への一歩一歩の努力と、専門医のご理解・お力添えを得て日本臨床細胞学会の大きな事業の実施委員長を細胞検査士が務めるようになりました。全国の細胞検査士の一人でも多くの方が正会員になっていただきさらに評議員として学会の運営に細胞検査士が積極的に関与し、さらに貢献することが必要です。今後も、日本臨床細胞学会においては細胞診専門医と細胞検査士とが力を合わせて学会の運営に参画していきたいと思います。

最後になりましたが、3期6年の長きにわたり検査士会の改革や50周年記念式典や細胞検査士会初の学会長などを務められました伊藤仁会長、小松京子副会長、各委員長や委員の皆様におかれましては、これまで多大なる功績をいただきましたこと、深く感謝申し上げますとともに、今後も引き続き検査士会へのご協力をお願い申し上げる次第です。